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精神科の入院形態と本人からの執拗な退院請求への対応

統合失調症
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私の息子の初回の精神科入院は、本人同意による任意入院でした。

精神科の入院形態は複数あり、それは法律に定められていてとても複雑です。

身体的な病気による一般科の入院と違って、精神科は本人が病気を自覚できてないので入院への誘導はなかなか難しいと思います。

うちの場合、初回ではそれほど抵抗しなかったですが、退院請求への対応が大変でした。

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精神科の入院形態は複数ある

外科や内科など、一般の入院では入院形態を検討することはないはずです。

普通、入院が必要になるのは病気の治療の為で、本人も同意せざるを得ないし、理解して入院に従います。

でも精神科は違います。

精神科の入院には精神保健福祉法が関与し、入院形態は多様で複雑です。

任意入院

精神保健福祉法第20条

入院について本人の同意がある。

精神保健指定医の診察不要。

医療保護入院

精神保健福祉法第33条

入院の必要がある精神障害者で、任意入院にできなくても、家族等(配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人。該当者がいない場合等は、市町村長)の同意がある。

精神保健指定医(又は特定医師)の診察が必要。

措置入院・緊急措置入院

精神保健福祉法第29条

自傷他害のおそれのある精神障害者。(警察官からの通報など)

精神保健指定医2名の診断の一致で都道府県知事の措置による。

措置入院に係る手続をとれない場合で急を要する時には緊急措置入院となり、精神保健指定医1名で72時間の制限内で入院させることができる。(72時間の間に何らかの手続きをとる)

応急入院

精神保健福祉法第29条

入院の必要があるが、本人や家族の同意が得られず急を要する場合、精神保健指定医1名で72時間の制限内で入院させることができる。(緊急措置と同様)

 

参考:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態について 

任意入院を勧めるのは退院後の関係のため

任意入院は本人の意思で入院するので、本人が退院したいと申し出た場合は退院させなくてはならないのです。

そんなことなら親が希望したのだから、親の同意で入院させる医療保護入院でよいのではないかと私は思いました。

でも精神科医は、緊急でなければできるだけ本人の同意が得られる方が望ましいと言います。

その理由は、退院後の家族との関係を悪くしないようにとのことです。

本人の病状や年齢にもよるのでしょうが、入院は短い期間のことであり、これから先の家族との関わりの方が長いからという理由です。

本人が混乱を極めている状態でない限り、家族が入院を強要した形になると、本人がそれをいつまでも恨むことはよくあるそうです。

そうなると医師とも信頼関係が築きにくくなり、結果的に治療が難しくなるという説明をされました。

ですので、息子の入院も任意入院を勧められました。

そして医師が息子に入院の必要性など説明下さり、「1ヶ月の入院」という約束で折り合えたようで、本人も同意しました。

 

対応に苦戦した執拗な退院請求

1ヶ月の期間に同意したはずの息子は、翌日には「退院する」と電話をかけてきました。

あれほどウロウロしていたくらいなので、彼は制限付きの生活には耐えられない状態なのでしょう。

自分の現状を理解しているとも思えず、本当に納得しているとも思えず、そんな予感もしていました。

 

もちろんそこが閉鎖病棟であることや入院中の制限事項などは全て説明済みでした。

通信は制限してはならない

精神科入院では、基本的に通信の自由は保障されます。

特に手紙に関しては制限をかけてはいけないようです。

電話は一定の制限をしても良いようですが、治療上正当な理由が明記されてないといけないと決まっているそうです。

これは全て精神障害者の人権を守るためです。

電話制限されていても、権利擁護などの行政機関や弁護士に対しては、本人が連絡を取りたいと申し出れば要求には応えなければならないとのことでした。

息子には電話制限はなく、まして親である私に電話をすることは自由でした。

毎日、私には退院したいという電話がかかり続け、他にもいろいろと電話をかけていたのでしょう。

家にいる時と同じようにテレホンカードは何枚あってもきりがないほどでした。

何度同じ説明をしても何度もかかってくる電話に、私は疲れ果てていました。

主治医に、退院請求の電話が頻繁で対応できず、カードも使い方がひどすぎる、他にもどこかに迷惑をかけているかもしれないので、電話は制限をかけて欲しいと依頼しました。

主治医としては、本当は任意入院なので本人が望めば退院させなければなりません。

だけど落ち着いて話を理解することもできず、自分の要求だけ異常な執拗さで主張する息子がこのまま退院しても、入院前と何も変わりません。

せめて薬を調整して治療だけは軌道に乗せてほしかったのです。

とりあえず一日の電話の回数制限を設けてもらいました。

それでも退院請求は毎日続き、その都度ごまかしなだめながら何とか1ヶ月を過ごしました。

後半になると、本人なりに同世代の患者同士の関わりの楽しさがあったらしく、そのおかげか薬のおかげか、しつこさは少し薄れていました。

まとめ

精神科の入院形態は複雑で、一般的にはあまり知られていません。

緊急時にはたとえ本人が拒否しても、強制的に入院させることのできる法律はありますが、人権は尊重され、条件に合わなければ利用できません。

そういう状況ではない以上、本人が入院を拒否している場合、精神科に入院させるのは難しいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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