不登校が始まった頃、たしかに息子の奇妙な言動が気になっていました。
ですがそれと精神病の発症とは私の中で結びつきませんでした。
後にあれは初期症状だったのかと気づきましたが、よほど明らかでない限り家族としてはそんなものかもしれません。
家族が精神病にかかるというイメージがわかないのです。
今日は、当時の息子に見られていた統合失調症の初期症状と考えられる発症の兆候についてお話してみます。
統合失調症は型で分類される
統合失調症は脳の病気であり、脳内の情報の伝達がうまくいかなくなり思考や感情のまとまりが悪くなる病気と言われます。
つまり脳内を統合する能力を失ってしまう(失調する)病気で、発症の誘因はいろいろあるけれども、これと言って原因が明確ではないです。
以前は精神分裂病と呼ばれ、統合失調症という病名に変わったのは2002年。
分裂病よりはるかに柔らかいイメージの病名になったと思います。
調べると、統合失調症には症状の表れ方によって3つの型に分類されると書いてありますが、実際はそんなにきっちりと違わないかもしれません。
私の息子がどのタイプなのか、どれにも当てはまる症状があるように思います。
発症年齢が早く慢性化していると考えれば破瓜型になるのでしょうが、人柄が変わってしまったかと言えば判断しづらいです。
統合失調症の3つの病型
破瓜型
思春期から青年期にかけて発病することが多い。
最初に、感情の起伏がなくなったり、意欲が減退するなどの陰性症状が現れ、その後、徐々に陽性症状が出てきます。症状は慢性化することが多く、人柄が変わってしまうなど予後はあまりよくない。緊張型
青年期に急に発病します。
大声で叫んだり、奇妙な姿勢をとるなどの緊張病症候群や行動の異常などがみられます。多くは数カ月で消失しますが、再発もまれではなく、再発するたびに破瓜型に似た病像に変化していく場合があります。ただし、人柄が変わってしまうことは少なく、破瓜型よりは予後はよい。妄想型
破瓜型や緊張型よりも発病年齢が遅く、多くは30歳前後に発病します。
幻覚や妄想が中心で、陰性症状はそれほど現れません。対人コミュニケーションは比較的良好に保たれていることが多く、人柄の変化もあまり目立ちません。予後はよい。出典元 https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/understand/disease/
そして、どの型であっても治療はそれぞれの症状に合わせて行われるので、これは参考にする程度で、分類できてもできなくてもあまり意味はないように感じます。
初期から見られていた強迫性症状
わかっていても自分ではやめられず、それをしなければいられないといった強迫性障害と呼ばれる症状があります。
強迫性障害の症状については、以下の厚労省のHPにもわかりやすく書かれてあるので参考になさって下さい。
息子の初期症状は、最初から幻聴幻覚などの特徴のあるものではなく、強迫性障害と呼ばれるような症状が見られていました。
病的なこだわりが日常生活のあちらこちらで出ていました。
何度も時間をかけて手を洗う
元々、きれい好きなのでよく手は洗う子でしたが、洗っている時間が長すぎました。
見かねて、もういいのでは?と声をかけてもすすぎ続けます。
どのくらいの時間なら正常なのかの答もないかもしれませんが、とにかく手を洗うのにあきれるような時間がかかりました。
入浴やトイレなど日常の動作に時間がかかる
お風呂やトイレも時間がかかりました。
そうは言ってもこれも個人差があるものだし、覗くわけにもいかないのですけど、それに関する一つ一つの行動にも時間がかかるのです。
長風呂でゆっくり入ってリラックスしているという雰囲気ではありません。
その行動に移る前にも順序があるようで、若い男の子の俊敏で活気のある動きとは違うのです。
自分の外観に対する同じ質問の繰り返し
家族を掴まえては、自分の顔についての感想のようなものを質問してきました。
例えば、自分の目は?口は?どんなふうに見えるか聞いてきます。
思春期になり外見が気になるのだろうかとも思いましたが、そうとは言い切れないしつこさで、何度も何度も同じことを聞くのです。
そのわりに切実な感じではなく理由がわかりません。
こちらも答に困り、気分を損ねないように適当に「かっこいいよ」とか答えるしかなかったですが、納得しても、また同じことを質問しながら付きまとって来ます。
ちょうど幼児が「なんでなんで」と質問しながらまとわりついてくるような感じです。
あれは退行現象だったのかもしれません。
昼夜逆転とひきこもり
元々が内向的な性格で友達と元気に遊んで回るタイプではないのですが、子供の頃から家から出ずにひきこもっていたわけではありません。
不登校になってからは、家から一歩も出ずにひきこもりの状態でした。
私達が学校に行けと言わなくなり、気分転換に外出に誘っても簡単には連れ出せませんでした。
昼夜逆転しているので、まず昼間は寝ていることが多く、いざ出かける気になっても、行動の一つ一つに時間がかかりすぎて結局は外出ができないのです。
スマホなどが普及している今のようにデジタルな時代ではなく、ひきこもりで外と接点を持つ手段はなかったので人と会話する機会もなく過ごしていました。
マンガは大好きで読んでいましたが、あれほど長い時間を自室でどう過ごしていたのか、ただ寝ていたことしか思い出せません。
まとめ
当時の奇妙な行動も、あの時、統合失調症を発症していたのだと考えるとすべてに説明がつきます。
でも変だと思っても、家族の立場からはなかなかそれと精神病の初期症状とを結びつけられないのが現実です。
それは体裁のためとかではなく、本当に精神病の発症という方向に考えてないのです。
現実に戸惑い、どう接したらいいのかもわからずただ手探りの日々です。
精神病かもしれないという発想は、第3者の介入があってこそかもしれません。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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